Frequently Asked Questions よくある質問 特許出願、商標登録出願等を初めてするお客様へ
お客様の連絡先(TEL、FAX、電子メールアドレス、住所等)が変わった場合には、必ず弊所の担当者(弁理士 中野 寛也)まで速やかにご連絡願います。
特許の手続は、出願だけではなく、登録まで長期間に渡ります。出願後には、出願審査請求期限到来のお知らせをし、特許庁の審査開始後には、拒絶理由通知書を送付し、特許査定後には、特許査定謄本を送付するとともに、特許料納付期限のお知らせをします。さらに、登録後(特許権取得後)には、年金納付期限到来のお知らせをします。
従って、出願後に、お客様と何度も連絡をとる必要があります。このとき、連絡先が変わっていて、追跡もできないとどうしようもありません。せっかくの権利化の機会を逃してしまうことになり、あるいは成立した権利が消滅してしまい、それまでに投資した費用もすべて無駄になってしまいます。
弊所では、電話もFAXも通じない、電子メールもエラーで返ってくる、郵便も転居先不明で戻ってくる、ホームページ検索もできないとなりますと、それ以上、費用をかけて転居先を追跡調査するということはありません。ですから、連絡先が変わったら、必ずご連絡をお願い致します。
出願後に会社名や会社住所が変わった場合には、必ず弊所の担当者(弁理士 中野 寛也)まで速やかにご連絡願います。特許庁への手続が必要となります。
但し、出願人(特許出願人、商標登録出願人等)や権利者(特許権者、商標権者等)としての会社名や会社住所が変わった場合の話です。
従って、発明者の住所変更は、関係ありません。特許庁への手続は不要です。なお、発明者が特許のご担当者でもある場合は、上記の「お客様の連絡先(TEL、FAX、電子メールアドレス、住所等)が変わったら」に該当します。
権利を移転する必要が生じた場合には、必ず弊所の担当者(弁理士 中野 寛也)まで速やかにご連絡願います。特許庁への手続が必要となります。
特許や実用新案の出願書類(「明細書」と呼ばれています。)には、先行技術文献を開示(記載)しなければならないことになっています。それ故に先行技術調査が必要となります。
それにも増して、ほぼ同じ内容の技術について、既に他人が出願している場合には、後から自分が出願しても、特許権や実用新案権を取得することはできませんので、無駄な投資をすることになってしまいます。
また、他人の出願が既に権利化されているか、あるいは、今後、権利化されるようであれば、自分で開発した技術とはいえ、それを使用すれば、他人の権利を侵害することになってしまいます。つまり、他人は、真似されることを防ぐことができる独占権を持っていますので、その独占権により攻撃を受ける可能性があるわけです。
このようなことを回避するためにも、先行技術調査が必要となります。
さて、特許や実用新案の出願書類中において、先行技術文献を開示するという観点からは、下記のような公報の番号が必要になります。これから説明する先行技術調査を行ったら、下記のような番号を控えておいてください。
上記は、pdf版の公開公報ですが、先行技術調査では、上記(1)のところの公開番号が必要となりますので、この番号を控えておいてください。上記の例では「特開2005-142XXX」と記載されている番号です。その他には、「特開平XX-XXXXXX」、「実開20XX-XXXXXX」、「実開平XX-XXXXXX」等という場合もあります。
また、権利化後に発行される公報の番号としては、「特許第XXXXXXX号」、「実用新案登録第XXXXXXX号」という番号がありますので、これらの番号を控えておいてください。
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それでは、これから先行技術調査(無料)のやり方を説明します。
(実は、特許庁の該当ページのデザインが下記の記載時点の状態から大きく変わってしまいましたが、基本的な考え方は同じです。申し訳ありませんが、追って対応いたします。)
<ステップ1>
先ず、インターネット検索で、「特許庁」というキーワードにより、特許庁のホームページを開き、そこで「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」という文字を見つけ、それをクリックします。すると、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」のページが開きます。
直接に、下記をクリックしていただいても開くことができます。
J-PlatPatここで、ページの真ん中にある「特許・実用新案、意匠、商標の簡易検索」というのを選択しても、キーワード検索による先行技術調査を行うことができるのですが、検索範囲が、書類の一部分(発明の名称・出願人・発明者といった書誌的事項+請求の範囲+要約)だけとなってしまいますので、できれば、もう少し検索範囲を広げ、高度な検索をするために、ページの上のほうにある電球マークの付いた「特許・実用新案」というボタンを選択し、クリックしてください。
<ステップ2>
「特許・実用新案」というボタンをクリックするとメニューが現れ、上から順に、
「1.特許・実用新案文献番号索引照会」、
「2.特許・実用新案文献番号索引照会(英語版)」、
「3.特許・実用新案テキスト検索」、
「4.特許・実用新案分類検索」、
「5.パテントマップガイダンス(PMGS)」
等を選択することができるようになっていますので、ここで、「3.特許・実用新案テキスト検索」を選択し、クリックしてください。
すると、下記のような「3.特許・実用新案テキスト検索」のページが開きます。
<ステップ3>
この「3.特許・実用新案テキスト検索」のページにおいて、適当なキーワードを決めて入力します。キーワードは、幾つか自分で選び、and/orで連結します。上記の入力例ですと、「システム」と「携帯電話」は、andで連結されています。一方、「防災」と「災害」と「地震」は、orで連結されています。
この際、上記(2)の種別については、「公開特許公報」、「特許公報」、「公開実用新案公報」、「実用新案公報」の4つにチェックを入れてください。
また、上記(3)~(5)における検索項目では、すべて「公報全文(書誌を除く)」を選択してください。なお、検索キーワードの入力欄は、上記(6)の「追加」ボタンで増やすことができます。
そして、上記(3)~(5)における検索キーワードに、自分で選んだ幾つかのキーワードを入力し、上記(7)の「検索」ボタンをクリックしてください。ヒット件数が、1,000件を超えてしまった場合には、下記のように、検索キーワードをandで追加するか、選び直して同じことを繰り返してください。
そして、ヒット件数が、1,000件以内に収まったら、上記(8)の「一覧表示」ボタンをクリックしてください。すると、次のような画面が表示されます。
<ステップ4>
この画面において、発明の名称を参照したり、あるいは文献番号をクリックして各文献(公報)の中身を確認し、自分のアイディアに近い文献(公報)が適切に抽出されているか否かを確認します。
適切に抽出されていると思った場合には、抽出されている全ての文献(公報)の中身を見てみます。但し、人間が集中力を持って内容を参照・確認することができる件数は、せいぜい200件程度だと思われますので、あまりにヒット数が多い場合には、andで連結するキーワードを増やすなどして、ヒット数を減らす調整を行います。
一方、適切に抽出されていないと思った場合、すなわち、自分のアイディアにあまり関係のない文献(公報)が多数含まれているような場合には、キーワードを変更して検索をやり直してください。
そして、それでも適切に抽出されていないと思った場合には、次に示すような国際特許分類(IPC)を利用した絞り込みを行いましょう。
<ステップ5>
国際特許分類(IPC)を利用した絞り込みを行うには、利用するIPCを決めなければなりません。前述した<ステップ4>で示されている一覧表示において、発明の名称を見て、自分のアイディアに近そうな文献(公報)を幾つか選択し、文献番号をクリックして中身を見てみます。例えば、「安否確認システム」という発明の名称が自分のアイディアに近そうだと感じたら、その公報番号をクリックして中身を見ます。
上記(9)のところに、国際特許分類(IPC)が記載されています。上記の例では、「G08B 25/10」、「G08B 25/04」となっていますので、これらのIPCを控えておきます。そして、自分のアイディアに近そうな他の文献(公報)についても、同じことをし、記載されているIPCを控えておきます。そうしているうちに、各文献(公報)で同じようなIPCが記載されていることに気付きます。
<ステップ6>
次に、その同じようなIPCが、どのような分類を示すものなのかを調べます。前述した<ステップ2>に戻り、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」のトップページにおいて、上のほうにある電球マークの付いた「特許・実用新案索」というボタンでメニューを開き、そこで「5.パテントマップガイダンス(PMGS)」を選択してクリックします。
すると、次のような「パテントマップガイダンス(PMGS)」のページが開きます。
上記(10)のIPC照会のところに、どのような分類なのかを調べたいIPCを入力します。例えば、前述した「G08B 25/10」というIPCを入力します。そして、「照会」ボタンをクリックします。すると、次のような画面が表示されます。
上記(11)のところで、IPCの示す分類の内容を把握し、自分のアイディアに合致する内容であるかを確認します。この際、周辺のIPCの内容も確認し、自分のアイディアに最も近いものを1つ、あるいは複数選択します。このIPCの内容を説明する文章は、非常にわかりにくい日本語になっていますが、自分のアイディアに近い文献(公報)に多く付されているIPCですから、間違っているということではありません。我慢して、そういうものであると思って、それらしい内容のものを選択するしかありません。
以上のようにして、検索に利用するIPCを、「G08B 25/・・・」に属するすべてであると決めたとします。
<ステップ7>
続いて、前述した<ステップ3>に戻り、検索に利用すると決めたIPCを、次のように検索条件として入力します。例えば、「G08B 25/・・・」に属するすべてのIPCを利用する場合には、下記(12)のように、検索項目については、「IPC」を選択し、検索キーワードには、「G08B25/?」を入力します。なお、「G08B25/?」の入力の仕方がわからない場合には、下記(13)のヘルプを参照することができます。
また、IPC以外の検索条件については、前述した<ステップ3>の場合と同様にして、検索項目を「公報全文(書誌を除く)」とし、適宜選択した検索キーワードを入力します。この際、前述した<ステップ4>の場合と同様にして、検索キーワードを変更しながらヒット件数が適切になるように調整します。
そして、ヒット件数が適切になったところで、そのときの一覧表示で示される全ての文献(公報)の中身を確認します。
<ステップ8>
最後に、一覧表示で示される全ての文献(公報)の中身を確認していく過程で、自分のアイディアと殆ど同じか、あるいは似ている文献(公報)を見つけた場合には、必ずその文献(公報)の公開番号、あるいは特許番号や実用新案登録番号を控えておいてください。また、番号を控えるだけではなく、どのような点が同じ、あるいは似ていると思えたのか、更には、どのような点が異なると思えたのかをメモしておきましょう。あとで使用する情報となります。重要なことです。
<ステップ9>
「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を用いた検索による先行技術調査は、以上で終わりですが、その後、得られた調査結果に基づき、検討を行わなければなりません。
自分のアイディアと全く同じ内容が、既に発行されている文献(公報)に記載されている場合には、そのアイディアは、出願しても、権利化することはできません。これを、法律上、「新規性」がないといいます。それどころか、他人の出願が権利化されてしまうと、自分がその他人の権利を侵害してしまうかもしれませんので、注意が必要です。
さて、全く同じ内容になる等ということは、他人の真似でもしない限り、通常は、起きにくいものです。本当に自分で開発した技術であれば、多少は、他人の開発した技術とは違っているものです。
そこで、判断が難しいのは、幾つかの似ている文献(公報)が存在する場合です。似ている程度にもよりますが、幾つかの似ている文献(公報)が存在するからといって、出願しても特許権を取得できないということではないのです。
自分が開発した技術が、幾つかの似ている文献(公報)を組み合わせてみると、容易に思い付いてしまうようなものである場合は、出願しても特許権は取得できません。これを、法律上、「進歩性」がないといいます。
この判断は、特許庁の審査官が行います。一応、審査基準なるものは存在するのですが、容易に思い付くか、そうでないか等という判断は、結局は、人間たる審査官が行うわけですから、人によって、審査結果は異なってくることになります。また、この「進歩性」の有無の判断は、時代によっても、厳しくなったり、やさしくなったりと、変化しています。
というわけで、「進歩性」については、とても判断が難しいわけですが、幾つかの似ている文献(公報)を寄せ集めてみても(組み合わせてみても)、容易には思い付かないと考えられるようなワンポイントのアイディアがあれば、特許を取ることは可能であり、出願しておく価値はあるでしょう。
注意しないといけないのは、自分が開発した技術を、出願する前に公開してしまうと、前述した「新規性」がなくなってしまい、原則として、特許を取れなくなってしまうということです。
従って、自分のアイディアを世に出す前に、出願しておく必要があるのです。学術的なものであれば、論文を発表する前に、出願しておく必要があり、市場に流通するものであれば、販売前に出願しておく必要があるのです。「新規性喪失の例外規定」なる例外的な手続もあるのですが、公開してから6か月以内(今は、法律が改正されて1年以内)に出願しなければならない等の制約がありますので、あくまでも公開前(世に出す前)の出願が原則となります。